わたがしをつくる

目の隈が永遠に抜けないままなにか書いている。

春を始めるはなし ふたつめ

なんだかステージ名みたいですね。

またしてもお久しぶりです。〆切めっちゃ破ってすみませんでした…。

 

さて、今回の星は廻る月は廻る 4周目後編

いかがでしたか、とはあまり言えませんね…前後編分けたにも関わらず30分越えをしておりとても視聴に体力を求められる動画…な気がします。
(実際、私自身体力を大分持っていかれました)
加え、画質も伝えている通りニコニコの仕様上、30分以上の動画は最低画質まで落とされるため本当に申し訳ありません…。
もしご視聴がまだでしたら、見るラスグッラとしてよろしくお願いいたします。

ではいつも通り本題へ。

元々4話は起承転結の結として割り当てていました。
琴葉姉妹は関係性が落ち着き、またそれにより結月紲星両名も関係性の進展を行います。
そして同時に予告や0話前頭にあったプロローグの意味も含めています。

出逢いと表層的な関係を築き上げ、確かに手にした1つ目の結末。
本来であればここは物語の終わり際や節目の役割を果たす、そんなシーンとして割り当てられる場所でしょう。
ですがこの子たちにとっては全くの別物です。
なぜなら、既に琴葉姉妹も結月紲星も過去を積み重ね生きてきているため。

先ずはここの掘り下げから…の前に1つ。

今回の物語、私は出来る限り出演キャラへ「人」を強く意識しています。

必須な部分(信念や信条、感情の振れやすさ)は確定要素として注ぎ込んでいますが、それ以外は私の主観に沿った解説しか言えません。
あくまでもこの子たちは1人の人であり、どんな生き方、どんな取捨選択をしたかを知っていても知っているだけに過ぎません。

なるべく多くの時間を理解に費やしてはいますが、それでもそれは私の「思った」であることをお願いします。

とてもまだるっこしい言い方ですが、もし視聴した方と私の考えがズレていても、それも1つの答えだと思っています。
(ただ…こう考えてて欲しい、と言う強さは多少ありますが…これもまた人故でしょうか)

 

 

前置きを終えまして、琴葉から。

琴葉茜は記憶を喪失しています。それは彼女が言った様に琴葉葵に関する事を大部分占めており、正しく茜が甘い物へ固執する理由でもありました。
恋のきっかけは動画で出さないため口を開きますが、一目惚れです。

幼い頃。葵は体が弱くほぼ入院し続けており、茜は葵を妹とは認識出来ていませんでした。(大事な子があなたにはいるから、と常日頃聞かされてはいた)
そんな中、ようやく自宅療養まで許された葵と邂逅します。春先の穏やかな風たなびく先、普段自分が読んでいる絵本ではなく活字の入った(病院からこっそり持ち出した)古めかしい書籍を眺める儚い空色の少女。

自分と同じ姿形でも雰囲気は真逆で、それだけで初恋には十分な要素でした。
ですがそれを恋と認識する前に茜さんは初恋を終えます。
きっかけの出来事はある日葵が風邪を引いた1日。
初めての事態に茜は戸惑います。
(そもそも葵が体調悪い時は必ず病院へ戻されるため、今回は家に帰れなかった家族が悪い)
けれどそれでも茜はなんとかしようと、まず葵に風邪薬を飲ませようとします。しかし茜は苦いものが大嫌い。そして浮かんだのは
「もしあおちゃんが同じように苦いものが苦手だったら?」
親からはあなたが守ってあげるのよと言われ続けた茜。
だからこそここで茜は1つのしがらみを自らに生み出します。

「この子は私がお姉ちゃんでいないと死んでしまうのでは?」

双子の姉妹、生まれた日は同じ。そこに姉妹としての区別を考えるのは茜にとって理解できなかったものです。
ですが茜はそれを自分から否定し、対等ではなく自分が守る立場になるとこの日から意識し始めます。
結果生み出された、決意のホットミルク。
ここから茜は意識していなかった恋心を全てお姉ちゃんでいることに切り替え、文字通り葵のために成長を始めます。

※琴葉親は仕事関係の事情により、とても家を空けていることが多く(空いた平日などは必ず過保護なほど茜葵へ関わってはいても、それでも時間的には少ない方)
必然的に茜は人ではなく物で心を満たす、そんな環境下にありました。
そこへ現れた葵という妹の存在。加え幼いながらも初恋相手。
彼女が心を満たす行動を人へ尽くす行動原理へ昇華させるにはすぐでした。

そんな姉へ葵さんはというと、めちゃくちゃなパーソナルスペースをしてくるため、心象良くは思っていませんでした。
病院では周りから距離を置かれており(個室入院だったため)親は「あなたには大事な子、支えてくれる子がいるから」と言い聞かせられてきた日々。
当時本の虫であった葵さんには、その言葉はまるで「私にはここから出してくれる王子様がいるんだ」と夢を見るには十分でした。

ですが実際に出会えたのは自分と瓜二つの少女。

自分とは違い快活さを持ち何でも自分でこなしてしまう、本の主人公のような存在。
憧れ、妬み、様々な感情あれどそこには1つの失望

(…女の子じゃ、私の王子様にはなれない)

 

瓜二つの中、真逆の感情を抱いた琴葉姉妹。
ここから2人のへんてこな日常ははじまります。

茜は葵へ尽くす一方、自分に対し非常に無頓着。

葵はそんな茜へ失望を隠しつつ、自身を顧みないためどこか危うく、けれどこちらには慎重に接してくる姉に対し納得の行かない気持ちを抱え続ける日々。
ですが互いに自分の無いものを持っていた姉妹。
茜は葵のように落ち着いた人になりたい。葵は茜のように自由に走り回りたい。それはどちらも影響を与え、落ち着きを持ち朗らかながらも妹を見守る姉と無鉄砲ながらもそんな姉を動かす妹…そんな姉妹へと育っていきました。

しかしその最中、1つ琴葉姉妹に機転が訪れます。
幼少期終わり頃、両親がとある事情により離縁を決めます。
その際取り決めにより茜は父へ、葵は母へ引き取るとなりますが…茜はその内容を一足先に知ることとなりました。(決して両親はこれに関わりはありません、知ってはいましたが)

最中、茜が起こす行動は拒否でも逃げるでもなく、姉として妹のためにできることをする。
茜は葵へ約束を3つだけ行います。(その際意図的に茜は記憶に残りやすい味覚へ訴える存在を渡しています)
1つ、必ず迷子になった時見つけること。(祭りの甘味:綿菓子等)
2つ、必ず葵にとって誇れる姉でいること。(チョコレート)
3つ、約束を忘れないこと。(ホットミルク)

さて、いざ離れる日が近づく時。茜だけではなく葵も薄々何かを気づき始めます。それが何か分からずとも。
それは何かを探る日々、葵は茜が1人だけ鍵をかけた部屋で泣いているのを聞きつけます。
なぜ?あんなにも凛々しく憧れだった姉が、絶対に自分にとって導べだった姉がなんで泣くの?
そこから葵は1つ思い違いをしていたのでは?と浮かべます。

「お姉ちゃんはもっと本来わがままな人なのでは?」

まだ言うべきではないだろうと、2人が離れる日は決行されます。
父曰く「茜と出張に行ってくるよ」と
母曰く「行ってらっしゃいって言える?葵」

普段たまにあったやり取り、だから分かっている茜も分からない葵も同じ言葉を伝えます。

「またね」

 

察しがよく聡い茜。
けれど彼女はまだ幼き子供です。全てを分かりつつ受け止めきれる訳もなく、父のすきを見て父私用の財布を持ち出し妹のいる関東へと走り出します。
しかし後少しというところで茜は事故に遭い、最も強く頭に浮かべていた記憶を落としてしまいました。

それが最初にお伝えした、琴葉葵に関する事。

間違いなく茜は葵の全てを落とし、双子の姉妹ではなく1人の琴葉茜として目覚めます。

ですが姉として、茜としての意地。1つ、また1つと年を重ねていく間に父が隠そうとしている何かに気づき、茜はそこから琴葉葵を知り、1つずつ思い出していきます。
そしてたどり着いた記憶には「約束」「甘味」

約束こそが最も思い浮かべていた記憶のため、今日に至るまで思い出すことはできませんでしたが、これこそが琴葉茜を恋に向かわせる少女ではなく姉の存在でいさせる物語。

一方葵は、姉がなぜ本来の姿(一番はじめに出会った茜)をやめてしまったのか、わがままを消し去ってしまったのか知りたい、見たいという気持ちから姉ではなく茜を知ろうと動き始めます。
その中で悩むことあれど、彼女は一切後ろは向きません。
なぜなら知っていく度に、姉であろうとした茜を浮かべれば強くあれる心をもてるから。そして約束を必ず破らない姉はそれが間違いでも見つけてくれた時正しい道へと手を引いてくれるから。

 

これが恋を隠した茜と、ひたすらにまっすぐ姉と向き合い続けた葵の物語の始まりです。

彼女たちにとっておそらく終着点は恋でなくてもいいのかもしれません。
ただ自分の嘘も隠したい事も、願いたい事も忘れたくない事も向き合い分かろうとひたむきであり続けてくれる。それが茜であり、葵であっただけだから。

 

そんな彼女たちを誰よりも近くで見守り、成就を見届けたのが他でもない何かを諦めた結月ゆかりで、何かを望み続けた紲星あかり。

 

 

これから4人と1人が成す物語、どうか同じように見守っていただければ幸いです。

 

 

 

おまけ